正しくデータを活用し、相手の選択をそっと後押しする仕組みを作りたい
こんにちは、ピネアルの徳原です。今回はこれまで綴ってきた社会への想いはどこで生まれたのか。私自身の原点をちょっと振り返ってみました。
社会に落胆したからこそ見えた課題
ストレートに表現しますが、私は社会というものに恐怖心を抱いてきました。今でこそだいぶ丸くなりましたが、高校時代に、真実を報道せず都合の良いところだけを大々的に伝えるマスメディア、そしてその情報に踊らされる人々を目の当たりにしたことで、そんな社会や大衆のような、掴みどころのないうねりのようなものが心の底から嫌になりました。
一方で、小学生の頃に転校を繰り返し人間関係が希薄だった影響もあってか、人の心理には興味を持っていました。岡本太郎さんの本を読んだことがきっかけで、哲学、思想にハマり、関連する本を読み漁るようになり、果てはグッドウィルハンティング(心を閉ざした少年と精神分析医の心の交流を描いた映画作品)に憧れ、臨床心理士になろうと京大を目指すきっかけも生まれました。
しかし一度抱いたネガティブな思いは消えず、人の心理に興味は持てど、1対1で向かい合う営業は苦手だという偏見を持ったまま私は社会人となりました。
そんな中、新卒で入社したJT(日本たばこ産業株式会社)でマーケティングと出会い、この世界には1対1ではなく、1対多数で人の感情を動かす術があることを知りました。もともと計算問題や課題に向かってコツコツと取り組むことが楽しい性分だったので、マーケティングという手法が自分にとてもフィットしていきました。
そして私は、一つの課題を見つけました。
皆さんはマーケティングとは、どんなものだと思いますか?
マーケティング=扇動する=感情をゆさぶって売る、と思っている人もいるのではないでしょうか。
実際に、「●●しなかったら××になりますよ」といったネガティブキャンペーンも存在しています。しかも、人はそれに容易に流されてしまいます。そうなると、それで儲かるから…と、どんどんそんな手法が増えていく。
でもそれは、消費者が本当にやりたいことでしょうか? 高校時代に見た情報に流されている大衆と同じ構図です。
私が見つけた課題はまさにココ。
これは、それぞれが正しい選択肢を自分で言語化できずにいるから起きてしまうのではないか、正しい選択肢を言語化できないままだだから周囲の情報を鵜呑みにしているのではないか、という考えに至りました。
だからこそ、これまでお伝えしてきた社会のハッピーを生み出すには、そもそもの仕組みを変える必要がある!そのために、もっと理性的に物事を考えられる人を増やしたい!という、強い想いが私の中に生まれてきたのだと思っています。
言語化をサポートすることで、やりたいことを後押ししたい
私の考える本当のマーケティングは、カスタマージャーニーの最終的な落としどころに、”お客様のハッピー”がきちんと設計できているものであると思っています。
これは、行動経済学の「ナッジ理論」というものを参考にしています。
※ナッジ理論とは
ナッジとは、相手に選択の自由を残しつつ、より良い選択を気分良く選べるように促すこと。
<三大原則>
・相手の選択肢を奪わない
・大変な時にコミュニケーションをしない
・ポジティブな未来を見せる
私は、ここにある3つの原則をピネアルでも大切にしていきたい。
そしてこのナッジ理論をベースとし、相手のやりたいことを後押しをするためにデジタルの力をもっと活用したいと思っています。
企業側はこれまでに多数のデータを蓄積しています。この持っているデータを使って、もっとより良いレコメンドをして欲しい。企業側主体の情報を植え付けるのではなく、本当にあなたがやりたいことってなに? を正しく言語化するサポートで、その人が本当に想うこと、やりたいことを促していく。
これがマーケティングの役割であり、個人はもちろん社会のハッピーな時間を増やしていくものになるのではないでしょうか?
このような考え方をもっと世の中に広めるため、個人の力ではなく社会の仕組み作りが必要だと思っています。だからこそ、Pineal Makers Academyをはじめとする研修を通じ、データの正しい使い方を啓蒙し、正しく活用できる人材・リーダーを増やしていきたいと思っています。